Monday, May 14, 2007

爛熟消費文化@新丸ビル

丸ビルに続いて新装なった新丸ビル。連休中は1日10万人の人出とか。その10万分の1となって覗いてみれば、あふれるモノ、飲食店に押すな押すなの人の群れ。華やかな消費文化はこれ以上、どこへ行くのでしょう。
 このところ、東京駅丸の内側界隈の変貌ぶりには目を見張るばかり。5年前、丸ビルが新しくなってビジネスマン以外の来訪者が増えたと思ったら、北口にオアゾができ、南口近くにTOKIAが出現。文字通り高層ビルの「林立」です。で、この連休にデビューしたのが「新丸ビル」。「新しい丸ビル」とまぎらわしいのですが、あえて言えば「新しい新丸ビル」です。地上38階、地下4階。高さ198m。延床面積ざっと59000坪。でかくて高~い!
 出かけたのは5月2日。連休に挟まれたとはいえ、一応、世の中は勤務日です。なのに、周辺の路上、地下鉄からの連絡通路はいつものサラリーマンとは違う人の群れ、それも圧倒的に女性ですね。いや、実におばさん、多し(と、自分を棚に上げて驚く)。B1~7Fだけで各種店舗150余店の吸引力やすさまじいものがあります。すでに地下1階から食べ物屋さんが並びます。スーパーもあるぞ。人波に乗って覗いてみれば、輸入ワインから保存食、かと思えばおせんべいに総菜まで。ガラス戸の向こうでは職人さんがなにやら作っています。他から運んでくるんじゃないよ、ちゃんとここで作ってるんだよ、というわけね。となりのパン屋さんではいい香りが漂って、これも「ここで焼く」が売りと見えます。
 地上1階のエントランスは、大理石(仕様?)のぴかぴかつるつるのモザイク床に吹き抜けの天井。イギリスの「サー」が設計した「英国調コンセプト」の味わいは、う~ん、ダークブラウン(黒?)の柱が印象的で豪華にして格調高し。そしてそこを行き交う人の装いは様々なのです。たしかに、「連休の合間、夫婦で、友達で、新しいビル見物に行く」際のドレスコードってないからなあ。特にこのビルの場合、「たかがビル見物、されど丸の内」というちょっとおめかし感を誘う要素もあり、「普段着で来ちゃったよ~」という人から「びし~っと決めてみました」という人まで実にばらばら。女性グループに中年夫婦、若いカップルが多い中、「男同士、スーツで」というのはビジネス的視察と拝見しました。
 エスカレーター脇には、黒服のスタッフやブルーの制服の警備員が耳に警備連絡用のイヤホンをつけて、「お足元に気をつけて」とご案内。お客はベルトコンベアに載せられたごとく次の階へ。2階、3階=おしゃれ用品(主に女性向け)。どこも洗練された品が凝ったレイアウトで展示され、売り子さんたちもファッショナブル。きれいな包装。豊富な品揃え。すてき、ではある。
 4階=生活雑貨+ちょっと男性向け用品。5、6、7階=レストラン。各店平均15人ほどの待ち行列……。日本人の忍耐力を見ました。冷やかし気分だった私が、おもわず「おおっ」となったのは5階の中華料理屋の前です。新宿にある、どちらかというと大衆的な雰囲気のお店が麗々しいたたずまいで営業してる……。たしかかつては、毛沢東を思わせる太った店主が中国語を大声でどなっていたもんだ。するとこれも中国語で店の兄ちゃん姉ちゃんが受け答えして、いかにも中国人民が食すようなあつあつのお皿を運んできたっけ。乱雑なほど活気のある店だったけど、そうか、こんなに「出世」しちゃったのか。なんだか素朴な村の知り合いが、都会で蝶ネクタイしているのを見たような、「よかったね」という気分と「あのころを忘れないでね」という気持ちと半々です。7階。ビルの外側をベランダがぐるりと囲み、客はその植え込みでくつろげます。ここまで上ってきて外気を吸ってほっとしました。皇居が見えます。お堀の水面が光って見えます。風が気持ちいい。「甍(いらか)の波と雲の波」ならぬ、「高層ビルの波」の中でちょっと考えました。経済大国ニッポン。このところ景気も悪くない。ビルが建つ。買い物客が集まってくる。でもなんだろう、この「なんだよ~」という感じは。「ほらほら、こういうものがほしいんでしょ。豪華できれいなモノ、おいしいモノね。はいはい、取りそろえましたからね。食べなさい、飲みなさい、着飾りなさい」と言われているような。
 もしかしたら、もう「あれもこれもほしい」という年齢を過ぎた団塊おばさんの冷めちゃった気分かもしれません。おりから開かれていた国連のICPP(気候変動に関する政府間パネル)が気になっていたせいかもしれません。このビルに限りませんが、最近の消費文化の「これどう?」「もっともっと」「じゃあこれは?」という循環を見ると、どこかで「あのねえ、欲望にはきりがないんだからさ~、この辺で『堪能しました。もういいです』ということにしたらどうかねえ」と言いたいような気分になるのです。丸の内界隈の再開発と洗練された豊かな消費文化って、もしかしたら後世に「こんなことしてたんだよ~」とあきれられるかもしれない……。
 私?はい、結局、話の種にきれいな浴用香料のセット、買っちゃいましたけど。

http://www.yomiuri.co.jp/tabi/sketch/20070511tb01.htm

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